中国、英国と「新たな水準」の関係構築を提案 首脳会談

中国・北京での首脳会談を前に握手を交わす習近平・中国国家主席(右)とテリーザ・メイ英首相(2018年2月1日撮影)。(c)AFP PHOTO / WU HONG〔AFPBB News

1.習近平政権第1期で注目を集めた三中全会

 2012年11月の中国共産党第18回党大会で習近平総書記が選出され、第1期習近平政権が発足した。その1年後の2013年11月に開催された三中全会で世界中が注目した重要決定が発表された。

 それは市場メカニズムの積極的導入により中国経済の構造改革の全面深化を目指すものだった。そこで示された政策運営方針が予想以上に意欲的な内容だったことから、新政権の構造改革断行に対する期待が高まった。

 確かに反腐敗キャンペーンによる政治家、軍人、官僚などの汚職摘発の断行は過去に例を見ないものだった。これによって習近平主席は政権基盤を強固なものとした。

 同時に、「新常態」、「供給側改革」といった政策運営の基本方針を掲げ、過剰設備および過剰在庫の削減、それらを助長してきた金融面のレバレッジの削減を実行した。

 その果実として、足元のマクロ経済は雇用、物価とも初めて長期にわたって安定を保持しており、1990年代前半に市場経済化への移行を開始して以降、最も安定した経済状態を実現している。

2.実際の政策運営はやや期待外れ

 しかし、第1期の政策運営はやや期待外れだった。国有企業改革の目玉だった民営化や混合所有制の導入は依然として捗々しい進展が見られていない。

 金融自由化についても、人民元がSDRバスケットに組み入れられたが、米国の強い元高要求圧力もあって、元安を招く恐れの高い資本移動の自由化には慎重にならざるを得なかった。

 所得格差、農村・都市格差、地域格差など様々な格差の是正は元々難しいだろうと予想されてはいたが、やはり予想通り目覚ましい改善は見られていない。

 環境問題の改善については、北京や上海ではPM2.5の数値が大幅に低下し、青空が広がる日が増え、目に見える改善が実感できるようになるなど、一定の成果は示された。

 しかし、全国レベルでは依然多くの地方都市が深刻な大気汚染・水質汚濁などの環境問題に苦しんでおり、多くの国民が納得するような抜本的な改善は実現していない。