シリコンバレーでのイノベーション、とりわけアントレプレナーシップの議論で、日本に大きく欠如する要素をいくつも痛感しました。
とりわけ、私のミッションは「大学発ベンチャー」国立大学法人の研究成果を市場に離陸させ産業として巣立たせるところにあります。
そのような観点で日本の「来し方」を振り返るとき、決定的に欠けている要素に「顧客中心思考(customer-centric)」という側面があるように思われます。
これは、むしろ確信をもって排除していると言った方が近いかもしれません。今回はこの「顧客中心思考」について、考えてみたいと思います。
むしろ技術だけなら勝った日本
しばしば言われることですが、日本は技術だけで言えば欧米諸国よりも優れた水準にある/少なくともかつてはあった、しかし、ビジネスにおいてそれを展開する能力に著しく欠け、そんなくじばかり引いてきた・・・。
確かにそういう表現もできるかと思います。しかし「そうだそうだ」と言っても状況の改善には直接役に立たない。
「ビジネスを展開する能力が低い」ではなく、どのようにビジネスを展開できなかったのか、具体的に敗因を分析し、その轍を踏み続けない工夫を考えるべきでしょう。
21世紀に入り、インターネットが一通り普及したとき、「その次」をどう考えるか、いくつか潮流がありました。
それまでは「ネット化」自体が商売になった。オフィスをIT化しましょう、というIT革命そのものがビジネスになった。
でも2000年4月頃からは「これからはインターネット<で>どうビジネスするか、に風向きが変わります。