私たちが普段食べている鶏肉や卵のもとの鶏のほとんどは外国種だ。だが、日本にも多くの固有種が存在し、「日本鶏(ニホンケイ)」とよばれている。日本鶏の姿かたちの多様性には目を見張るものがあるが、加えて新たな食資源としても注目されている。
市場を占める外国種
唐揚げに焼き鳥など、鶏肉のメニューは大人から子供まで人気がある。肉は軟らかくてジューシーなうえ、値段が安いのも魅力。鶏肉は、私たちの食卓にとって欠かすことのできない食材だ。
私たちが食べている鶏の品種はどれぐらいあるのだろう。高級な店では「比内地鶏」や「名古屋コーチン」という名前を見るが、普段私たちが食べている鶏とどこが違うのだろうか。たくさん食べている割には、あまり鶏のことをよく知らない。
鶏はキジ科に分類され、長い年月をかけて家畜化された鳥である。市場に出回る9割の肉は「ブロイラー」と呼ばれる若鳥の肉で、短期間で出荷できるように米国で改良されたものである。白色コーニッシュの雄と白色プリマスロックの雌を交配したものが大半を占めている。ちなみに、卵を採るための品種は「白色レグホン」で、これも採卵用に欧米で品種改良されたものだ。
市場を占めている鶏のほとんどは外国種だが、それに対し日本鶏の血統が50%以上占めているのが「地鶏」で、日本農林規格(JAS)で定めた4つの条件を満たしたものをいう(下の表)。ただし、これは商業上の呼称で、品種としての地鶏とは別物だ。名古屋コーチンや比内地鶏はこの商用地鶏だ。
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なお、銘柄鶏には定義がなく、手間をかけた若鳥にブランド名を付けたもの。「南部どり」や「紀州うめどり」など生産地に関わる名前が付いている。