韓国で、1987年の民主化をテーマとした映画が昨年(2017年)末からヒットを続けている。
観客動員はすでに500万人を超えた。「公務員必見」(?)とまで言われる映画は、現政権が進める検察など権力機関改革の強い追い風になっている。
2018年1月6日、日曜日。筆者は午前8時過ぎにソウルの江南(カンナム)駅近くの映画館に足を運んだ。日曜日の朝早い時間帯は、映画を独りで見るには最適だ。早朝割引はあるし、この時間なら普段はがらがらで、週末の楽しみの1つだ。
日曜日朝8時過ぎにほぼ満席
だが、この日は、様子が違った。びっくりするほど混んでいたのだ。
つい2週間ほど前にも同じ映画館で同じ時間帯に別のヒット映画を見たが、このときは、10人も観客がいなかった。この日は、なんとほぼ満席だったのだ。
若い人はちらちら。といって、この日は、氷点下6度ほどに気温が下がり、お年寄りはほとんどいない。観客の多くが、中年層だった。
どうしてこんなに混んでいたのか。夕方のニュースを見て分かることになる。
映画は「1987」。
1987年は、韓国の民主化の年だった。当時の全斗煥(チョン・ドファン)政権に対して、学生や労働者が中心となって民主化を求めた。このときの民主化は、「大統領直接選挙」とそのための憲法改正だった。
映画は、この1987年の民主化の契機となった1月のソウル大学生拷問死事件をテーマとしている。