2017年6月1日、国税庁から出された指針に基づき、ビール等酒類の過度な値下げが抑制された。「アサヒスーパードライ」「キリン一番搾り」「サントリープレミアムモルツ」など、だれもが知っている有名なブランドなのに、高く売れないどころか、際限ない値下げの消耗戦が常態化していた。
このような現象はビールに限ったことではなく、食品、飲料、日用品、化粧品など、あらゆる消費財で起きている。
日本の人口は既に減少局面に入っており、日本は消費の伸びが期待できない超成熟市場である。だからこそ、企業は今まで以上に利益を重視しなければならない。今こそ、ブランドを高く売ることに真剣に取り組むべきである。
「ブランド力がある」=「値崩れしない」
ブランドという言葉で真っ先に思い浮かぶのは、「ルイ・ヴィトン」「グッチ」「ロレックス」などの有名ブランド。これらのブランドは、アウトレットなどで比較的安価に入手できるルートはあるが、理由がはっきりしない単純な値引きは行われない。それでも人気があり、高値のまま受け入れられ続けているのは、「ブランド力がある」からだ。ブランド力がある製品は値崩れしない。
例えば、約160年の歴史がある「ルイ・ヴィトン」。もともとは旅行鞄のブランドで、使いやすくて丈夫など機能性に優れていることに加えて、デザインが斬新で魅力的であることから当時のセレブに愛用され、長年にわたり確固たるブランド価値が形成され、定着してきた。現在でも、元々のコアとなるブランド価値は堅持しつつ、時代時代に合わせて先進的なデザイナーとのコラボレーションを行うなど、ブランドの鮮度を失わない。