年の瀬もいよいよ押し迫り、今年も残すところ2日となった。帰省ラッシュも山場は過ぎて、故郷にたどり着いた人も多いだろう。また、都会に残って、大掃除やお正月の準備に追われている人も多いだろう。
私は年が明けると2月で46歳になる。人生も半ばを過ぎて、後半生というものに入っているわけだ。2人の息子も中3と小1になり、中3の方には身長も追いつかれてきた。
小説家の看板を掲げているとはいえ、私の世の中に対する見方はおおよそ固まってしまっている。あの手この手で今後も読者を楽しませたいと思っているが、10代の後半から20代半ばにかけてのように、体一つで未知の世界に飛び込んでいくようなマネはもうできない。
というより、それは息子たちの役目なので、親として、彼らがどんな人たちの間に立ちまじっても軽んじられないように、しっかり育ててやりたいと思うばかりである。
誤解のないように断っておけば、それは高い学歴を持たせたいということではない。学歴を一概に否定しようとは思わないが、学歴があるために、かえって世界との生の接触を遠ざけることになってしまっては意味がない。
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今年の就職戦線はかつてない厳しさで、大卒者の内定率は6割を切っているという。高卒での就職も似たような状況だというから、不安を抱えたまま年越しをしている卒業予定者も多いだろう。
私は1989年3月に大学を卒業している。バブル経済の真っ最中で、空前の売手市場と言われていた。
私は北海道大学法学部に在籍していて、留年と休学を1年ずつしており、成績も「良」と「可」ばかりだったにもかかわらず、就職の誘いは引きも切らなかった。
商社・ゼネコン・証券会社・銀行といった大手企業の採用担当者から一度会いませんかという電話が次々にかかってきたが、噂によれば、会ったが最後、すぐに内定が出されて、他社との接触を防ぐために全国各地にある保養施設に缶詰にされてしまうというので、いずれの会社にも丁重に断わりの返事をした。