マット安川 今の閣僚は根拠も示さずに国民の税金を持っていく、と猪瀬さん。まず何事も財源を考え、それに見合った法案を考えるのが筋だと、都政に携わる自らの経験からお話しいただきました。また、世界的な評価を受ける「東京水」事業についてもお話を伺いました。

言動や立場がブレる人を信用するな

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:猪瀬直樹/前田せいめい撮影猪瀬 直樹(いのせ・なおき)氏(右)
東京都副知事、作家。第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した『ミカドの肖像』ほか著書多数。近刊に『東京の副知事になってみたら』、『昭和16年夏の敗戦』(復刊)、弘兼憲史画の『ラストニュース』(コンビニ版)など。
(撮影・前田せいめい、以下同)

猪瀬 菅(直人)政権はブレてばかりです。毎日ブレている。菅さんは方針を出せない。自分の方針が何なのか見えません。

 小泉(純一郎)首相はブレませんでした。だから改革ができた。そのあと安倍(晋三)さんは少しブレた。

 さらに福田(康夫)さんで「夢」がなくなり、麻生(太郎)さんで「知性」がなくなり、そして“宇宙人”の鳩山(由紀夫)さんで「現実」がなくなり、いま菅さんで「日本国」がなくなりそうになっています。

 総理大臣になる人は、自分が総理大臣になったら何をするのかを考え続けていなければいけない。たまたま「あなたなってくれ」と言われた人ではダメなんです。

中曽根(康弘)さんは、自分が総理大臣になったら何をしようかイメージトレーニングしていた。だからきちんとしゃべれたんです。

 小泉さんも郵政民営化をやるんだ、特殊法人改革をやるんだと言っていた。ところが、突然総理大臣になった人はイメージトレーニングができていないから、結局ブレてしまうんです。

 今どういう人が総理大臣になるべきかというと、一貫している人です。連立だとか何だとかコロコロ立場を変えたり、言うことを変える人を信用してはダメです。

国が力を入れるべきは国防と外交

 石破(茂、自民党政調会長)さんが8月に国会で、菅さんに「自衛隊の幹部と会いましたか」と質問しました。総理大臣になって1カ月以上経っていましたから。しかし、会っていなかった。