ドイツ・ベルリンの連邦議会議事堂(資料写真)

 日本は太平洋戦争という経済体力を無視した戦争によって、終戦直後から準ハイパーインフレとも呼べる猛烈なインフレに見舞われた。

 だが、第1次世界大戦後にドイツで発生したハイパーインフレは日本の水準をはるかに上回る。

 現代は高度な金融システムが整備されており、先進国においては、かつてのような破壊的インフレは発生しないとされている。だが100%安全な通貨というものは存在しない。現在の日本はインフレどころかデフレ懸念すらある状態だが、金利上昇という時限爆弾を抱えており、いつインフレに転じてもおかしくない。ドイツのハイパーインフレは具体的にどの程度だったのか、資産価格はどう推移したのかなど、歴史を知っておいて損はないだろう。

ケタが違うドイツのハイパーインフレ

 太平洋戦争直後に日本が経験したインフレは、国家予算の280倍(インフレ考慮前)という途方もない戦費を国債で賄ったことによる財政インフレであった。戦時中は物価統制によって表面化しなかったものの、終戦直後から物価上昇が一気に本格化。インフレが沈静化した1955年には、開戦当時との比較で約180倍にまで物価は高騰していた。