民進党の蓮舫代表が辞任を表明した。理由は「党内の遠心力」という意味不明の話だが、その最大の原因が先週の当コラム(「蓮舫代表の『二重国籍』についての説明は矛盾だらけ」)でも指摘した二重国籍問題であることは明白だ。これ自体は大した問題ではなかったが、民進党の執行部はそれを隠蔽しようとして問題をかえって大きくしてしまった。
蓮舫氏は記者会見で辞任の理由を質問されて「国籍の問題は判断に入っていない」というが、事ここに至っても危機の原因を理解できないのは深刻だ。執行部が組織として機能せず、代表が国会で金切り声で騒ぐだけの「万年野党」では選挙は戦えない。民進党の支持率低下に貢献した彼女が辞めるのは、安倍政権には痛手だろう。
安保国会で左傾化した民主党
民進党の前身である民主党は、小選挙区制で生き残れない弱小政党が集まった寄り合い所帯で、選挙のスローガンも「政権交代」。何をやりたいのか分からない政党だったが、たまたま2009年に「風」が吹いて政権を取ったため、行き当たりばったりに予算をばらまき、震災と原発事故で自滅した。
ところが2012年末の総選挙で大敗してからも民主党は失敗の原因を総括できず、左傾化した。特に大きかったのは、2015年の国会で「安保法制反対」の先頭に立ち、「強行採決」に反対して乱闘騒ぎを起こすなど、55年体制の社会党のような抵抗政党に戻ったことだ。
2014年7月の安保法制についての閣議決定には民主党は強く反対せず、その年12月の解散・総選挙では安保は争点にしなかった。それなのに翌年6月の憲法審査会で長谷部恭男氏(自民党側の参考人)が安保法制に反対の意見を表明した後、民主党は「絶対反対」に回った。
これは関係者によると「安保で政権を倒せると思った」からだという。与野党の参考人が3人とも反対という結果になったのは自民党の失態だが、こんなことで政権が倒れるはずがない。一時的には安倍内閣の支持率は30%台に落ちたが、その後は回復し、前より高くなった。