鶏の生食はダメ! カンピロバクター食中毒に一直線

「新鮮な鶏生肉=安全」は幻想に過ぎない

2017.06.02(Fri)小暮 実

 また、ノロウイルスについては、当初は小型球形ウイルスとして件数が計上され、その後の検査方法の向上とともに原因物質のトップとなっている。

 なお、魚の寄生虫であるアニサキスについては、2004年から計上されるようになったが、その後、年々微増しており、2015年からは年間100件を超えている。また、黄色ぶどう球菌については、年間100件に満たないが、ほぼ同様の発生状況が続いている。

カンピロバクターによる大規模な食中毒事件も

 このような状況の中で、カンピロバクターによる食中毒事件数は、全体の約3割を占めている。厚生労働省のHPによれば、図2のとおり、年間200~500件の事件、約1500~3000名の患者が報告されている。

 カンピロバクターは少量の菌量で感染し、1~7日(ピークは36時間)の潜伏期間を経て、下痢、腹痛、発熱、おう吐などの胃腸炎症状を呈する食中毒である。鶏肉を原因とする事件が多いが、牛レバーや豚内臓の生食などでの事件も報告されている。

 1件あたりの患者数は平均すると6~7人となるが、2016年のお台場と博多で開催された「肉フェス」で提供された「鶏ササミ寿司」などによる食中毒では、患者数がそれぞれの会場で609名、266名にのぼるなど大規模な事件も発生している。このため、2016年の平均値は9.7名と増加している。

図2:カンピロバクターによる食中毒の発生状況。 (参考:厚生労働省「食中毒統計資料」を参考に作成)
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予防の鍵は加熱で「やっつける」

 しかし、この統計数は氷山の一角にすぎない。2013年の厚生労働科学研究によれば、日本では最小でも10万人に1000人程度の感染はあると考えられ、年間130万人以上が感染しているという計算になる(「食中毒調査の精度向上のための手法等に関する調査研究」より)。

 ほかの細菌性食中毒であるサルモネラや腸炎ビブリオについては、鶏卵や魚介類での汚染率を低減することにより、食中毒が激減している。このことは、鶏肉へのカンピロバクターの汚染率を低減することができれば、カンピロバクターの発生を防止できることを示唆している。

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