朝鮮半島をめぐって、核戦争がリアリティを持ち始めた。今のところ北朝鮮には核弾頭を搭載したミサイルを日本に撃ち込む能力はないが、米軍が核ミサイルで北を攻撃する能力はある。では、日本は核武装できるのだろうか?
できる、というのが政府見解である。日本は核兵器の材料となるプルトニウムを約47トン(原爆6000発分)保有しており、そのための原子力技術も十分ある。つまり日本は核武装のオプションをもっている。
だが、そのオプションがいま危機に直面している。日本の核武装を可能にする日米原子力協定が来年、切れるのだ。
核武装は憲法違反ではない
憲法では「戦力」の保持を禁じているが、「自衛のための必要最小限度の実力」を保持することは認めている。問題は核兵器が「必要最小限度の実力」かどうかだが、2016年4月1日の答弁書でも政府は次のように答えている。
我が国には固有の自衛権があり、自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、憲法第九条第二項によっても禁止されているわけではなく、したがって、核兵器であっても、仮にそのような限度にとどまるものがあるとすれば、それを保有することは、必ずしも憲法の禁止するところではない。
この解釈は野党の多くも認めているので、憲法で核武装は禁止されていない。もちろん今は「平和利用」に限定されているが、将来、必要になったら核武装するオプションはもっているのだ。日米安保条約でも、日本国内への核兵器の配備は禁止していない。