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【連載第7回】

 鞄や家具などのものづくり、ファッションやオペラなどの文化。歴史的建造物が連なる町並みや穏やかな農村。国のいたるところに文化と産業が息づく町があるイタリア。国家財政・社会情勢が悪化する中、なぜイタリアの地方都市は活気に満ちているのか。イタリアに日本の課題「地方創生」解決のヒントを探る。

(前回の記事「イタリア式世界への開き方。デザイン・産地を守ること」はこちら

イタリアの産業は水平型、日本の産業は垂直型

 イタリアのさまざまな地方都市の状況を知ると、国にとっての地方の重要性、地場産業の大きな可能性について、理解できるのではないでしょうか。

 地方の小さな町が、常に「世界」を捉えているイタリア。これまでの話を整理しながら、そのグローバル展開のポイントを押さえていきましょう。

 まず、産業のあり方です。図-30をご覧ください。日本は産業を発展させる際に、ヒエラルキーとして大企業がトップに君臨し、中小企業を下請けとしてバックに置きながら、世界のマーケットを相手にするのが通例です。


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