近年、局地的な集中豪雨、いわゆる“ゲリラ豪雨”が世間を騒がせている。大規模な浸水被害を受けた地域があるのも、記憶に新しいだろう。天気自体を制御するのは難しいとしても、浸水などの水害に対して、増水を察知するなど予防的な対策はとれないのだろうか。
このほど明電舎が、IoT機器向けのLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークを活用した、防災監視サービスの実証実験を、神奈川県厚木市で行うと発表した。IoTやLPWAを活用することで、どのような対策が取れるのだろうか。
計測技術や端末の通信技術などを担当した、明電舎 水・環境システム事業部 戦略企画部長の平井和行氏に、今回の実証実験の背景や狙いを聞いた。
培ってきた技術を生かしたい
――今回の実証実験に取り組むまでの背景を教えてください。
平井和行氏(以下、敬称略) 近年、集中豪雨、ゲリラ豪雨といった雨による浸水のリスクが高まってきました。それに対して国や自治体も何か対策を取らなければということで、2015(平成27)年度に水防法の改正がありました。水防法では、洪水や高潮の際にはまず状況を見ること、計ること、見える化することを謳っています。
当社は重電メーカーとして、変圧器やモーター、発電機などといった単品から、上水道のプラント、下水処理場の機械を動かすための電気設備といったシステム製品まで、幅広く扱ってきました。その中で培ってきた、制御技術、計測技術、また通信技術などを、なんとか生かせないかということで、環境の分野、その浸水対策などに、提供を始めてきました。