自動運転技術によって、未来のクルマはどうなっていくだろうか。(写真はイメージ)

 近年のIT技術やIoTへの知見の蓄積などから、「自動運転」は今や夢物語ではなく、現実味のある計画として語られるようになってきた。実際のところ、どのくらいのタイムスパンで実現され、それによってどのようなライフスタイルやビジネスがもたらされるのだろうか。

 自動運転技術の開発に古くから取り組んできた、インテル株式会社 事業開発・政策推進本部 チーフ・アドバンストサービス・アーキテクト(兼)ダイレクターの野辺継男氏に話を聞いた。

インテル株式会社 事業開発・政策推進本部 チーフ・アドバンストサービス・アーキテクト(兼)ダイレクターの野辺継男氏。

* * *

コンピュータの進化の先にIoTと自動運転

――自動運転はコンピュータと切り離して考えることはできません。クルマとコンピュータの関係から聞かせてください。

野辺継男氏(以下、敬称略) クルマの中にコンピュータが入るのは必然性があります。

 クルマがどういう環境で走っているのかセンサーで認識し、走行状態もクルマの上のコンピュータが分析します。さらに、多くのクルマからのデータをクラウドに送り、分析することで、環境と走行状態を照らし合わせて安全な運転が支援可能となります。また、そうした多くのクルマからのデータに基づき地図が更新されていきますが、それをまた参照しながらクルマが走るといった形で、通信とデータセンターを介した情報の循環が生まれることが非常に重要です。これはまさにIoTです。

 以前はテレマティクスと言われた考え方ですが、日本では海外よりも携帯データ通信が発達し、カーナビゲーションの装着率も高かったため、2004年頃から比較的多くのクルマがデータセンターに接続され、IoTという言葉がまだ生まれていない頃から実はクルマはIoTを実現していたと言えます。