――クルマがネットワークを介して操縦されるというイメージですか?

野辺 いや、クルマがネットワークを介して操縦されたり、クルマがサーバーに判断を仰いで運転するわけではありません。こういうときはこう走るというアルゴリズムはクラウドで生成されますが、生成されたアルゴリズムをクラウドからクルマのコンピュータに時折ダウンロードして、それに基づいて道路を走ります。人間が運転していて気づかないようなことも、より早く正確にセンサーで気づけるようになり、ドライバーにより正確に注意喚起することができます。注意喚起や警告がさらに進化し、安全も確実に確認される様になれば運転支援につながります。

 そうした情報をさらに人工知能にかけ、運転の仕方をクラウドが機械学習します。こういうシチュエーションだからこういう運転をするべきだとか、危ないと思えばブレーキをかけるのだとか、安全確認を含む状況判断が安全・確実にできれば注意喚起や警告するまでもなく、運転操作を自動化することが可能になります。

――自動運転車の実現にはどのくらいの時間がかかるのでしょう?

野辺 現在のクルマはヒトが運転していますが、コンピュータがヒトと同様の運転を学習し尽くせば2020年頃には高速道路や一部の一般道路でも走り始め、5~10年の間には、広い範囲で浸透するでしょう。

――5~10年というと、ずいぶん短く感じますね。

野辺 はい。意外に思われるかもしれませんが、ICTの世界では10年たつと今は何もないものが生まれてきます。例えば、スマートフォンは10年前にはありませんでした。デジタル技術というものは、指数関数的に成長する性質を持っています。

 そのため、感覚的には20~30年かかると思っていたことが、5~10年で起こるといったことが現実に起こります。ただし、ある1つのクルマが、どこでも自動運転で走れるかというと、その実現には15年程度の時間がかかると考えられます。