今回は、1→10drive(ワントゥーテンドライブ) CTOの森岡東洋志による記事をお届けいたします。
>>前回の記事はこちら:「便利で楽しいIoT」市場を先取りするプロトタイプ開発の重要性
2016年4月18日、G・U・M PLAYというIoTデバイスが発売されました。発売元はサンスター株式会社です。サンスターはオーラルケアメーカーのトップブランドですが、ザ・IoTな製品はほぼ初めての製品となります。
このG・U・M PLAYの開発がスタートした際、当時1-10designに入ったばかりだった私は最初のモックの開発(最小の工数でプロダクトの骨子が体験できるものを製作すること)からリリースまで、ほぼ開発期間全てに携わる機会を得ました。
そして開発を進める中、「コミュニケーションとプロダクトの間のプロトタイプ開発」の相談をお受けする機会が増えて来たため、窓口として、1-10driveを立ち上げて今に至ります。
発売されてからというもの、このG・U・M PLAYについて「どうやってリリースまでたどり着いたんですか?」と聞かれることが多かったため、2016年の夏頃、BaPAというスクールにて、サンスターさんのご好意で実際リリースまでの流れについてお話する機会を得ました。
そこで今回の内容も、この発表資料に乗っ取ってご紹介させていただければ、と思います。
そもそも、仕事が来るまでの経緯
私は2014年4月に1-10designに入社しました。
大学を卒業してからは大学院で大学院で視覚の研究をしていたのですが、「論文以外のフォーマットで世の中に成果を発表したい」という想いが強く、小規模のメーカーに研究開発職で入社をしました。
とはいえ、小規模のメーカでもハードウェア、回路、ソフトウェアを跨いで開発させてもらえるような甘い現場ではなく、全ての工程にタッチする機会はなかなかありませんでした。そこで、独学でプロトタイピングの技法やビジュアライゼーションのツールについての勉強をしていました。
そんな折、1-10designの方とその業界について知る機会があり、メーカを飛び出して1-10designに就職することにしました。
IoT Todayの読者の方々はなじみのない業界かもしれないので説明しますと、1-10designは大きくは「広告業界の会社」に分類されています。
ひと昔前までは、広告といえば新聞広告とTV広告ぐらいだったんですが、今はウェブサイト、スマホアプリからVRコンテンツ制作まで、広告の枠が非常に多岐に渡って来ています。
そのため、「広告を制作する会社」の技術もデザイン力も非常に多岐に渡っています。その中に「製品化まではしないけれど新しい体験やブランディングができるデバイスを試作してPRする」という手法がありました。
そう、G・U・M PLAYは当初は広告・コミュニケーション予算、やり方で進められていたのです。
1-10designは創業当時からウェブサイト制作をメインとしていたため、デジタルな施作と、イベントを絡めた施作に強く、当時は60人ほどの会社でしたが、ソフトウェアエンジニアの割合が30%を超えていました。
そしてそんな業界に私が入ったタイミングとほぼ同時期に、PARTYという1-10designが以前から仕事をご一緒している会社から連絡がありました。
「サンスターのGUMブランドの価値向上に繋がるいろんな施作を提案したい。そのためにアプリやデバイスのモック制作やフィジビリティ(実現可能性のチェック)を手伝って欲しい』という内容でした。