「嫁(彼女)がディスプレイから出てきてくれない」「いつもディスプレイの中に嫁(彼女)がいるからさみしくない」などと言っている人たちに朗報だ。ついに理想のキャラクターを嫁にして一緒に暮らせる時代がやってきたのだ。

先日、株式会社ウィンクルが世界初のバーチャルホームロボット「Gatebox」という製品の限定予約販売を開始した。この「Gatebox」こそ、自分の好きなキャラクターを空間上に投影し、嫁として一緒に暮らせる、まさに多くの人たちが待ち望んでいた画期的なデバイスなのである。

日本と米国を対象に限定で300台、価格は29万8,000円(税別)で、2016年12月14日より予約を開始した。IT関連のガジェットとしては、かなり高価な価格設定だが、予約開始後、わずか5日で200台、1か月経たないうちに300台が完売となったという。あまりの人気のため現在では追加予約を受付けているそうだ。なお、現在予約した場合、製品は2017年12月以降に順次発送の予定となっている。

今回、この「Gatebox」の生みの親である株式会社ウィンクル代表取締役の武地実氏(以下、武地氏)に話を聞く機会を得たので製品開発の動機から製品技術、そして今後の展開までを聞いた。

好きなキャラクターと一緒に暮らしたいでしょ?

筆者、実は武地氏とは初対面ではない。初めて会ったのは今から2年ほど前のことだ。とあるイベントの取材会場で武地氏とたまたま目が合ったことがきっかけで、なんとなく名刺交換したのが始まりである。

その当時、「Gatebox」の構想を聞き、実現したら画期的なプロダクトだと感じたのだが、実際そんな簡単にことが運ぶとは思っていなかったのが正直なところだ。しかし、それからたった2年足らずで製品化まで漕ぎ着けるとは思っていなかった。現在、そのことについて大変申し訳なく思っている。

ただ、武地氏に言わせると、2年でも「時間がかかり過ぎた」というのだから驚きだ。

開発の動機は至ってシンプル。「好きなキャラクターと一緒に暮らしたいでしょ?」という思い。たとえばドラえもん好きなら「ドラえもんと一緒に暮らしたい」と思うだろうし、プリキュア好きなら、「プリキュアと暮らしたい」といった具合で子供の頃は、誰しも自分の好きなキャラクターと共に生活できれば、毎日が楽しいだろうなと想像したことがあるだろう。

アニメのヒロインや女性キャラに恋心を抱き、「彼女になってくれたら……」「こんな娘をお嫁さんにしたい……」なんて本気で思っていた時代もあっただろう。そんな想いが「Gatebox」によってついに現実のものとなるのだ。

「Gatebox」について語る、ウィンクル代表取締役 武地実氏

好きなキャラクターをホームロボット化

「Gatebox」は、聞きなれない言葉だがバーチャルホームロボットであるという。家庭向けのサービスロボットと言うと、ドラえもんが有名だ。ただ、ドラえもんのように実際の物理的なロボットではなく、投影映像によって好きなキャラクターをホームロボットにできるというものだ。

武地氏いわく、「キャラクターと一緒に暮らす」というコンセプトを、デザインとテクノロジーの両面から体現したものだという。どういったものかは、YouTubeにアップされている動画を見て頂くのが一番わかりやすい。

また、2016年1月にYouTubeで公開されたコンセプト段階での動画「Gatebox - Virtual Home Robot [ConceptMovie1st]」は、たった1日で10万再生を突破。今では77万再生を記録し、さらに再生数を伸ばしている。Gateboxを扱った動画の中には英語版や128万回も再生された動画もあるという。日本だけでなく、世界が注目しているプロダクトなのだ。

「Gatebox」を見るとわかるがキーボードやコントローラーの類は見当たらない。これは「キャラクターと一緒に暮らす」というコンセプトを追求した結果であるそうだ。キャラクターとのコミュニケーションはマイクによる音声入力が基本で、さらにカメラで人の顔や動きといった表情を認識するのだという。

さらにスマホアプリで設定やコミュニケーションが取れる。音声認識は本体上のタッチボタン「G」をトリガーとしている。これは外部ノイズによる誤認識を未然に防ぐためのものだそうだ。

音声認識はタッチボタンをトリガーとしている