ビジネス書の名著・古典は多数存在するが、あなたは何冊読んだことがあるだろうか。本連載では、ビジネス書の目利きである荒木博行氏が、名著の「ツボ」を毎回イラストを交え紹介する。
連載第15回は、ビル・ゲイツ、バラク・オバマ元アメリカ大統領も大絶賛した、世界で100万部のベストセラー『FACTFULNESS10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』(ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド著、上杉周作・関美和訳、日経BP)を取り上げる。データや事実に基づき「世界を正しく見る」スキルとは?
ビジネスリーダーたちが「座右の書」とするビジネス書の名著・古典は多数あるが、あなたは何冊読んだだろうか。本連載では、ビジネス書の目利きである荒木博行氏が、多くのビジネスパーソンに読み継がれる名著を厳選。多忙な読者が名著のエッセンスを素早くつかめるよう、ツボを押さえた解説とイラストで毎回1冊紹介する。
- 戦略論の決定版、バーニーの『企業戦略論』に学ぶ、自社の「強み」を読み解く「4つの問い」とは?
- なぜ熱心なリーダーが組織に悲劇をもたらすのか? 世界的ベストセラー『ザ・ゴール』に学ぶ「全体最適」
- 大ヒットワイン「イエローテイル」が大胆に捨てた常識とは? 『ブルー・オーシャン戦略』に学ぶ「新市場創造法」
- 「その辺のおじさんの持論」がなぜウケる? 『人を動かす』で学ぶ「人間関係の原則」
- テコを利用、インテル元CEOアンドリュー・グローブのアウトプット最大化術
- 偉大な企業の意外な末路、『ビジョナリー・カンパニー2』を今どう読むべきか
- 新規事業への横槍はこう封じる 「両利きの経営」実現のための4つの要件とは
- MIT上級講師の『U理論』に学ぶ、本物の「対話力」の鍛え方とは?
- 『学習する組織』で考える、複雑すぎる世界で変革を遂げるための5つの秘訣
- 『知識創造企業』に学ぶ、組織に絶え間なくイノベーションを起こすには?
- 『失敗の本質』に学ぶ、「組織の病」が企業にとって命取りになる本当の理由
- 『イノベーションのジレンマ』で考える、顧客の声は「救い」か「呪い」か
フォローしたコンテンツは、マイページから簡単に確認できるようになります。
なぜ悲観論が絶えないのか?
ニュースをぼーっと見ていると、この世界はなんとひどい世の中なんだろうかと思うことはないだろうか? どこかの国の戦争では爆撃されて多数の市民が亡くなり、別の街ではテロが起きている。次のニュースでは、身近な街では線状降水帯の影響により洪水が発生し、家や車が流されているようだ。そして、テレビに映った政治家は、選挙に向けた演説で「あの政治家によって社会は変貌してしまった。このままでは日本は滅びる!」と大きな声でがなりたてている。
世界は残酷な場であり、そしてそのひどさは日に日に増している…と思ってしまっても仕方ない。しかし、実態はどうだろうか?
ニュースのドラマチックさとは裏腹に、私たちの日常は大抵平凡なはずだ。確かに昔と比べて生きづらくなったこともある。しかし、むしろテクノロジーの恩恵により、かなりラクになったこともあるはずだ。決して一方的に、急激に悪化しているなんてことはない。でも、なぜこういう悲観的な論調が絶えないのだろうか?
本書『FACTFULNESS』のイントロダクションには、その理由がこう書かれている。