先日、テレビのスポーツ番組でWBC(ワールド・ベースボール・クラッシック)に出場経験のあるプロ野球選手が、WBCに向けての日本代表チームでどういった練習をするのかについて話していた。
練習の中で選手たちはあることを徹底して確認するという。それは「普通」の確認だった。
こういう場合にはどの位置に守備位置を取るか。この場合はショートが捕るのか、サードが捕るのか。こういう場合にはランナーを走らせるか、止めるか。
そうした微妙な判断が問われる状況において「普通はこう動くでしょ」の「普通」の感覚を徹底的に擦り合わせるとのことだった。
チームごとに違う「普通」の感覚
日本代表チームは選手それぞれ所属チームが異なり、所属チームによって「普通」の感覚は違う。その感覚のずれがチームワークの乱れを呼び、勝負の命運を分ける。そのため、それぞれの選手の「普通」の感覚を徹底して確認し、擦り合わせるという。
チームスポーツでは一瞬の判断に対して、各メンバーがアイコンタクトやあうんの呼吸で動くことが求められる。言葉を使わない究極のコミュニケーションと言える。
そのコミュニケーションを成立させるためには、同じ「普通」の感覚を持つことが必須である。そのため、一流の選手はお互いの感覚がずれていないかを事前に徹敵的に確認し、擦り合わせする。
この確認をすることなく、相手は自分と同じ「普通」の感覚を持っているはず、といった一方的な期待を抱くことはコミュニケーションミスを招き、チームや組織のパフォーマンスを著しく下げる。
ビジネスにも同様のことが言える。私は公認会計士、心理カウンセラーとして経営コンサルティングの仕事をしているが、その中で感じるのは、コミュニケーションのセンスが高く、結果を残している人は、相手との「普通」の感覚の違いを読み取り、その違いを埋めるためのコミュニケーションを取ることができるということである。