US President Barack Obama awards Vice President Joe Biden the Presidential Medal of Freedom during a tribute to Biden at the White House in Washington, DC, on January 12, 2017. (c)AFP/NICHOLAS KAMM

 以前、あるヘッドハンターの方とお話しさせていただいた。その際に、今、ヘッドハンティングの依頼として増えているのはどういう人かと伺うと、「社長ができる人」だと言う。

 多くの会社で社長の後継者がいないことが問題になっており、そういった依頼が増えているとのことだった。

 では、どういう人を社長としてヘッドハンティングするのかというと、その方の答えは「仕事ができる人」でも「カリスマ性がある人」でもなく、「社長の仕事が辛いと思える人」だった。

従業員に余計なストレスを与えない

 部下が気持ちよく働ける場をつくる。

 そのためには、自らが皆の模範となるような姿勢を示し、部下の話を聞き、部下の気持ちに共感し、褒めるべきところは褒め、叱るべきところは叱る。

 ネガティブな社外のやり取りにおいては、自分が矢面に立ち、従業員に余計なストレスや不安を与えないように食い止める。

 そういったことを「社長の仕事って辛いなぁ」と思えるくらいに、真面目に愚直にできる人。そういう人を社長候補としてヘッドハンティングするとのことだった。

 この方は数々の社長をヘッドハントしてきた経験から、こういった人を社長に据えると、部下も「この人のためなら」と一生懸命働くようになり、長期的に会社が発展する。そう話されていた。

 私は公認会計士、心理カウンセラーとして経営コンサルティングを行っているが、その仕事柄、従業員のモチベーションを引き出し、長きにわたって組織をまとめ上げている人に共通する点は何かということを考えることが多い。

 その答えとしてはいろいろな要因が考えられるが、そのうちの1つが「人」に関心を持ち、部下と人間対人間の関わりを持っていることが挙げられる。

 そういった人は部下の話に関心を持ち、部下の気持ちに共感し、部下のために何かできないかという姿勢を持っている。一方で、「仕事」には関心があっても、「人」に関心がない人も少なくない。