突然ですが、「ペットボトル」は身の回りにたくさんあります。この「ペット」って何ですか。犬とか猫に水を飲ませるためにあるからペットボトル?
さすがにそういうことはないですね。
身近にある思考停止
ペットボトルが登場したのは先週の土曜日、2月25日にお台場の日本科学未来館で、白川英樹先生の「有機EL」自作教室を見学させていただいた折のことでした。
有機EL、発光素子に関するお話は別の機会に譲りましょう。私は昔、大学院で物性物理を学びましたが、30年前なら硬くて重い半導体で実現していたことが、今では柔らかくて軽い有機分子、フィルムの膜で実現でき、子供たちの手作業でも簡単に手元で発光が実現してしまう。
すごいことだと思います。さて、ここで「有機物」、特に高分子素材、ポリマーのお話の例としてペットボトルが登場しました。
ポリとは複数、多数の、ということで「高分子材料」ビニールのようなプラスチックが、多数の有機分子が集まって作られている、という事例として挙げられました。
ペットボトルのペットはPET、物質の頭文字で、Pは「ポリ」poly-のPなのでペットボトルが登場したわけです。
今、私の手元に「お茶」と「炭酸水」のペットボトルがあります。各々かなり複雑な形をしています。ウイルキンソンの炭酸水ペットボトルは概して丸っこいですが、脚部は安定するように足がつけられており、また肩から首にかけては菱形状の模様が入っています。
他方「サントリー黒烏龍茶」のボトルは三角形を組み合わせた複雑な形に織り上げられていて、腰がくびれて持ちやすいようになっている。
これを金属や板で実現しようとするとなかなか大変ですが、プラスチックは成型加工が簡単なので、複雑な形の金型を1つ作っておけば、後は柔らかい状態のポリマーを吹き込んで、難しい形状のペットボトルを簡単に大量生産することができます。
さて、そのPETボトルのPET、Pはポリ、つまり多数の有機分子が集まってできていると分かりましたが、では残りの「ET」とは何でしょう?
昔、「ET=The Extra-Terrestrial」という映画がありました。これは地球外生物、つまり宇宙からの来訪者を描いたSF映画でした。しかし、PETボトルのETは、そういうものではなさそうです。
ではいったい何なのか?