Suchmos(サチモス)の音楽はとても新鮮でどこか懐かしい(YouTube「Suchmos "STAY TUNE" (Official Music Video)」より)

 これまで何度か書いたように、ここ数年、日本のインディーシーンから若き才能あるバンドが次々と登場して活況を呈しています。どのバンドのメンバーも20代中盤が多いので、「1990年以降生まれ」のミュージシャンと括ることができると思います。彼らはまだ若くてキャリアも短いにもかかわらず、どうしてみんな演奏がうまくて、センスが良くて、またフレッシュで刺激的な音楽を作り上げられるのかを考えてみます。

 まず挙げられるのが、彼らが音楽を能動的に聴きはじめたであろう思春期が、ちょうど2000年代に入って過去音源のCD化という世界的な作業が一段落した頃で、古今東西の膨大な音楽をすぐに聴ける(入手できる)環境が整っていたこと。また、YouTubeを中心としたインターネット環境の整備によって、やはり古今東西の音楽に気軽に触れられるようになったこと。同時に、音楽に関する膨大な情報をすぐに入手できる環境があったことも大きいでしょう。

 新旧問わず世界中のさまざまなジャンル、タイプの音楽を大量に聴いて影響を受けた結果、何が起こったかというと、演奏、アレンジ面での飛躍的な技術の向上、そして既存の音楽スタイルのコピーに留まることなく自分たちの感性で自由に新しい音楽を創造できるようになり、時差なく現行の海外(洋楽)シーンと同期した音楽的進化を遂げられるようになったというわけです。

本コラムは音楽レビューサイト「Mikiki」とのコラボレーション記事です

 今回は、J-Pop、J-Rockと呼ばれる日本独特のポップミュージックとは一線を画し、洋楽シーンと同じ地平で、そして洋楽アーティストと同じ感覚で自分たちらしい個性と新しい感性を示す新進バンドをご紹介したいと思います。