訪仏中の中国首相、温室効果ガス排出削減目標を発表

2015年、フランスを訪問した中国の李克強首相。右はフランスのフランソワ・オランド大統領と〔AFPBB News

1.本年の経済政策運営の基本方針

 中国の李克強総理は2016年12月16日、中央経済工作会議において翌2017年の経済政策運営の基本方針を発表した。

 昨年は成長率目標達成重視か構造改革推進重視かで政府内部の意思統一が徹底できておらず、2016年5月に共産党上層部から国務院(行政府)および全国の地方政府に対して、改革推進への注力を促す意見が人民日報に掲載されるなど、習近平政権内部の不協和音が表面化した。

 それだけに、今年の経済政策運営の基本方針がどのような形で発表されるか注目されていた。発表された基本方針は構想改革推進を重視する内容となっている。

 3大方針の第1は「新常態」だ。これは2014年8月に人民日報に掲載されて有名になった言葉であるが、2012年11月に習近平政権が発足した当初から現在に至るまで、同政権の経済政策運営は一貫してこの方針に基づいていると言っていい。

 その中身を簡潔に表現すれば、経済成長速度の適正化と経済構造の筋肉質化である。この大方針の下で2012年以降、中国経済は雇用と物価の安定を保持し、マクロ経済政策面では良好なパフォーマンスを持続している。

 一方、経済構造改革面では前政権が先送りした問題が山積している。特に重工業を中心とする過剰設備の問題と中小都市における不動産過剰在庫問題は深刻だ。

 それらの削減を加速して、肥満体質の非効率な経済構造をスリムで効率的なものに改善するというのが「新常態」が目指すゴールである。

 第2は「サプライサイド改革」である。これは「新常態」という大方針の中核をなす政策方針であり、構造改革により経済の質向上、効率改善、経済社会の公平化、持続的発展などの実現を目指す概念である。

 第3は中国語で「穏中求進」と表現されている方針である。経済の安定を保持しながら前進を目指すという意味である。これは「新常態」の下でのマクロ経済政策運営の基本的な考え方を表現したものである。

 以上の基本方針を見る限り、本年の経済政策運営方針は基本的に昨年の方針を継承する姿勢が示されたと言える。ここまでの内容に関する限り、特に目新しいサプライズはなく、昨年1年間の政策運営を踏まえた穏当な中身であると感じられた。