安倍首相とプーチン露大統領、都内で会談

都内の首相官邸で開かれた昼食会で、言葉を交わす安倍晋三首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領(2016年12月16日撮影)〔AFPBB News

 昨年は日露を巡る諸問題が我が国の政治報道においてかなり沸騰するという、珍しい年であった。

 その沸騰状態は12月15日の首脳会談が終わると、これまたあっという間に冷水に戻ってしまった感があるが、この首脳会談が意味のないお祭り騒ぎだったかと言えば、そうとも言えないと筆者は考えている。

 本来ならもっと詳細が報道されてよいテーマだと思う。実際、水面下において日露はいくつかの経済協定を、首脳会談の日程に合わせるべく急ぎ締結している。

 1つ例に挙げたいのは畜産分野での日露合意である。

畜産分野は着実な進展

 牛肉、豚肉のロシアにおける最大手の製造者であるミラトルグ社が自身のホームページに掲載したニュースリリースはこうだ。 

 「カリーニングラード発12月14日:ロシア最大の牛肉、豚肉生産業者であるミラトルグ社は、日本への肉加工品の輸出許可を日本検疫当局から取得した」

 筆者が少しつけ加えるなら、ミラトルグ社のブリャンスクとベルゴロドにある農場で生産された精肉をカリーニングラードのミラトルグ・ウェスト社で、ハンバーグやナゲットなどの冷凍製品に加工したものを、日本へ輸出することに我が国農林水産省の認可が下りた、ということである。

 もっとも、正式認可はいまだ降りておらず、2月中旬の認可予定ということなのだが、ロシア側はすでに舞い上がっている。

 本件については我々日本人から見ても、主管官庁である農林水産省の動きは速かった。

 日本側検疫検査官が10月に現地を訪問し、その2か月後には認可下付の方針が出たということは、12月の首脳会談を見越した異例の対応だったと思わざるを得ない。