(文:大野 ゆり子)
ここ4、5年、ヨーロッパの友人と一緒に旅行に行く計画をして、宿泊の話になると、皆まずAirbnb(エアビーアンドビー)のサイトをチェックしてくる。プライベートの旅行に限らず、たとえば音楽家が公演のために泊まる時も、滞在期間が1カ月以上になると、エージェントや興行主は、ホテルではなくAirbnbのサイトの中のオススメの宿を紹介してくるようになった。
そんなわけで、私はオランダ、イギリス、スペイン、フランス、それに帰国時の日本と、「民泊」を利用した経験がある。
利用した個人としては、良い体験の思い出が多い。長い滞在では自炊できるのがありがたいし、大家さんと気が合えば初めての土地でも心強い。民泊といっても領収書が発行されるので経理上も問題がない。
私自身は利用経験はないが、イタリアのお城や、木の上にあるアメリカの家、パリのエッフェル搭の向かい側の宿泊施設など、Airbnb に登録された物件にはコストパーフォマンスがよく、ユニークな体験ができるリスティングが少なくない。
しかし「民泊」の利用者数がコントロールされずに、一般市民の生活空間に押し寄せることによって、その土地に住む人の日常を侵食する現象が、日に日に問題になっている。
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