人口減少により「限界集落」が増えていく中、地方が活気づくためには、その火を起こす“人材”が必要になる。少子高齢化が進み、若者が都会に流出する状況で、どうやって町おこしを行う人材を確保できるか。地方のコミュニティを持続させるために避けては通れない課題といえる。
そこでカギとなるのが、都会からの若者の移住・定住である。近年では、「地域おこし協力隊」という総務省の事業も行われ、若者の地方への移住が促進されている。しかし、それが定住にまで発展し、地方の活性化に結びつくのは決して簡単ではないようだ。
「都会の若者にそのまま定住してもらい、地域の活性化を担ってもらうには、若者がそこに住む意義を見出せるように準備をすることが必須です」
そう語るのは、地理学の視点から経済を分析する國學院大學経済学部の山本健太准教授。若者の定住を図るには、彼らの生きがいとなる「地域資源」が重要だという。山本氏に話を聞いた。
せっかく来た若者を「労働力」にしてはいけない
──総務省の「地域おこし協力隊」事業をはじめ、都会の若者が地方に移住して、地域活性化の手がかりを作る取り組みが増えています。そうした現状について、どのように見ていますか。
山本健太氏(以下、敬称略) 制度や取り組みとしては、非常に良いものではないでしょうか。たとえば「地域おこし協力隊」は、若者がおよそ1〜3年の任期の中で地方に行って生活を開始し、その中で地域の活動に参加しながら、町づくりに関わっていきます。そうして、彼らの定住を図ります。そのシステム自体は活用の仕方次第で有効になると思います。
しかし、現状を見てみると、受け入れる地域にきちんとした「準備」ができていないケースや、「若者に何をさせればいいか分からない」といったケースが多々あります。