前回に引き続き、作家の岩崎夏海さんと元タカラジェンヌの花影アリスさんの対談の模様をお伝えする(前半はこちら)。
花影さんは2010年8月に宝塚を退団した。今後は芸能界に転身して女優の道を歩もうとしている。今回のテーマは役者論。ギリシャ時代から変わらない役者の本質とは何か。(JBpress)
岩崎夏海 花影さんは「『TRAFALGAR(トラファルガー)』―ネルソン、その愛と奇跡―」が退団公演になったわけですが、やはり特別な思いで臨まれたんでしょうね。
花影アリス そうですね。千秋楽の日には宙組のみんなが朝からお祭り騒ぎみたいなことになって、卒業を祝ってくれました。舞台上でいろいろなものをいただいたり、サプライズあり、涙もありで。最後は紋付き袴を着てステージの階段を降り、ファンの皆さんに退団の挨拶をさせていただきました。
岩崎 退団後はどうされるんですか。
大阪府出身。2000年宝塚音楽学校入学。2002年「プラハの春」で初舞台。同年宙組に所属。2004年「ファントム」で新人公演初ヒロイン。2007年、ブロードウェイ・ミュージカル「ALL SHOOK UP」に外部出演。2010年8月8日、「TRAFALGAR-ネルソン-その愛と軌跡-/ファンキー・サンシャイン」の東京公演千秋楽をもって宝塚歌劇団を退団。12月25日に神戸朝日ホールでファーストコンサートを開く。(撮影:前田せいめい、以下同)
花影 テレビや映画といった映像の仕事をやってみたいと思います。一方で、元々宝塚に入った理由が、ミュージカルが好きだったからなので、やはり歌ったり踊ったりしたいというのもあります。今はどっちも興味がある状態ですね。
岩崎 宝塚の方を間近で見たのは初めてなんですが、花影さんはすごく華がありますよね。僕は、対談に臨む際は予断を持たずに、できるだけその場の印象を大事にしているんですけど、花影さんは華があって、しかも頭がいい方だなと思います。
花影 いや、そんなことないです。無知ですから(笑)。
岩崎 知識とかじゃなくて、理解力があると言いますか、ニュアンスを捉えるのがうまい方だと思う。それはいい役者の条件ですよね。「この役どころは全体の中でこういう位置づけなんだろうな」とすぐに読めるかどうか。芸能人でも読むのがうまい人と、そうでない人にはっきり別れます。
下手な人は、いちいち演出家が説明しないと分からない。たぶん花影さんは言われなくてもセリフの言い回しとかニュアンスを間違えないんじゃないですか。
花影 そういうのは大事だと思います。宝塚で役づくりしていく上で、作品の中での位置づけや役割はもちろん大事です。その一方で、自分なりに演じたかったり、自分を出したい部分もあるので、バランスよく役をつくるのは難しいなと、いつも思っていました。