日本とは異なり、中国では自動車ナンバーは抽選またはオークション形式で購入しなければなりません。後者のオークション形式では、近年の取得希望者の急増もあって、ナンバー1枚当たりの金額が日本円で100万円以上に上ることもあり、庶民からは「車を買う前にお金が無くなる」という嘆きすら聞かれるほどです。

 しかし、EV購入による取得であれば抽選やオークションを経ずとも優先的にナンバーが配布され、取得費用に関しても様々な恩恵が得られます。そのため、手っ取り早く自動車を手に入れたいとする消費者は、EVを選ぶ傾向が強くなるのです。

中国の補助金は本当に「手厚い」のか?

 こうした中国のEV市場の現状について報じる日本のニュースでは、よく「手厚い補助金政策」という言葉が用いられます。しかし、「手厚い」と言っていいのは、あくまで“日本と比較した場合に限る”と言わざるを得ません。

 逆に言うと、それだけ日本の補助金政策は貧弱だということです。日本でも中国と同様に、EVの購入に際して政府や自治体が補助金を支給する普及策を実施しています。しかし、中国のみならずほかの国と比較したとしても、補助金の額は決して多くはありません。

日米中の日産「リーフ」に対するEV補助金政策の比較
注1:上記補助金額例はあくまで一例であり、実際購入時の車種、状況によって変動する。
注2:日本円価格は1米ドル=106.7円、1元=15.65円で計算。
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 上記の図表は日本、米国、中国それぞれの国で実施されているEVに対する補助金政策の概要と、各都市で日産自動車の「リーフ」(中国の場合は前述の「晨風e30」)を購入した場合に消費者が得られる補助金額をまとめたものです。