【連載第2回】今、日本の農業は変わらなければならない。食料安保、食料自給率、農業保護などにおける農業政策の歪みにより日本農業は脆弱化し、世界での競争力を失った。本連載では、IT技術を駆使した「スマートアグリ」で 世界2位の農産物輸出国にまで成長したオランダの農業モデルと日本の農業を照合しながら、日本がオランダ農業から何を学び、どのように変えていくべきかを大前研一氏が解説します。
世界2位の農産物輸出額を誇るオランダ
世界の農産物輸出入額
世界の農業のなかで、オランダと日本はどのような状況にあるのかを見ていきましょう。
図-2の2つのグラフをご覧ください。世界の農産物輸出入額の上位国を示しています。
まず輸出額では、米国が1位、次いで2位に893億ドル=約10兆円という額でオランダが入ってきます。3位はドイツ。日本は57位、額も33億ドルと小さいですね。
輸入額では同じように米国が1位。次いで2位に中国、3位にドイツ、4位に日本、オランダも6位と上位国に入ります。
ドイツの輸入額が大きいのは、近隣諸国から良いものを大量に買うスタンスをとっているからでしょう。そういった点においてドイツは、輸出も大きくやるけれど、輸入も大きくやるという点を、しっかりと押さえています。
輸入を禁止するのではなく、良いものは積極的に他国から買い、輸出力もつける。それが産業としての農業だということです。
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