7月11日の週明けの米WTI原油先物市場は1バレル=44.76ドルと約2カ月ぶりの安値となった。原油価格はその後も同45ドル前後で推移している。
山火事で落ち込んでいたカナダのオイルサンド(油砂)の生産量が回復するとともに、米国の石油掘削リグ稼働数が過去6週のうち5週で増加となり(351基)、シェールオイルの生産減少のペースが鈍化するとの見方が広がったためだ。
世界経済の減速により「原油需要が供給過剰分を十分に吸収できない」との懸念も高まっている。欧米地域でドライブ需要の最盛期を迎えたにもかかわらず余剰感が強く、英国のEU離脱決定が原油需要の減少につながる可能性が高い(7月9日付日本経済新聞)。
これらに加えて米ドルが対ユーロで上昇し商品市場への投資の妙味を減じていることから、ヘッジファンドや大手投機筋が原油相場に対する強気の姿勢を後退させている。
市場関係者の間では「我々は弱気スタンスにシフトした。WTI原油先物価格は約37ドル、ブレント原油先物価格は約38ドルまで下落する可能性がある」との見方が出始めており(7月12日付ロイター)、2015年の“二の舞”が繰り返されるリスクが高まっている(2015年は、3月の1バレル=43ドル台から5月に同60ドル台に回復したが、年末には同30ドル台半ばまで下落した)。