ICTの進展により、企業経営がガラス張りになる「透明化社会」において、顧客に選ばれ続ける企業になるためには、確固とした経営理念・経営哲学が不可欠だ。
「顧客に選ばれる」といっても、いろいろな基準やレベルがあるが、顧客自身が働きたくなる、自分の子どもを働かせたくなる、というのが、“究極”なのではないだろうか。
その意味では、第3回の記事「『卒業したくない』教習所が教えていること」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45875)で紹介した、ネッツトヨタ南国(高知市)と安城自動車学校(安城市)は究極の企業と言える。
ネッツ南国は、顧客から自分の子どもを就職させてくれないかと相談され、安城自動車学校は、教習生から就職したいと相談されるという。
星野リゾートでは、宿泊者がここで働かせてほしいと懇願し、そのまま住み着いたスタッフがいる。筆者が数年前、北海道のアルファトマムリゾートに家族で宿泊した際、そのようなスタッフに出会った。
社員たちがいきいきと働き、心のこもったサービスを提供している姿を見て、この環境に自分も身を置きたくなる顧客、自分の子どもを働かせたいと思う顧客が現れるのはごく自然なことだろう。厳しい中にも愛情に溢れる職場環境に身を置けば、人間的に成長できるに違いないと感じるのだ。