ロングトレイル、というものをご存知だろうか。ロングトレイルとは、歩くために造られた道のこと。登山のように頂上を目指すことが目的ではなく、歩くこと自体が旅の目的だ。
「登山道やハイキング道、自然散策路、里山のあぜ道、ときには車道などを歩きながら、その地域の自然や歴史、文化に触れることができる」ロングトレイル(日本ロングトレイル協会HPより)。日本ではまだまだ認知度は低いが、海外には3000kmを超すロングトレイルが存在する。
昨年(2015年)日本で公開された映画『わたしに会うまでの1600キロ』では、アメリカで三大トレイルの1つに数えられるパシフィック・クレスト・トレイルを女性がたった1人で踏破している。
完歩に要した時間は3カ月、バックパックに食糧やテントをすべて積み込み、野宿をしながら歩き続けるという過酷な旅だ。この作品は実話を元にしており、主演のリース・ウィザースプーンがトレイルの過酷さ、そして素晴らしさを熱演している。
国内で長距離を歩く旅、というと日本では熊野古道や四国のお遍路などが思い浮かぶかもしれないが、日本国内にもいくつかのロングトレイルが存在する。なかでも今回は、東北で新たに生まれようとしているロングトレイルについて紹介したい。
東北の自然と暮らしを伝えていく
「みちのく潮風トレイル」は、青森県八戸市から福島県相馬市までの太平洋側の海岸線を、県をまたいでつなぐ700kmを超えるトレイルだ。
この新たなトレイルについて、主導して整備を行っている環境省東北地方環境事務所 国立公園課 課長の佐々木真二郎氏、みちのく潮風トレイル広報担当の板橋真美氏にインタビューを行った。