小笠原 父島の南に位置する「ハートロック」こと千尋岩からの眺め(筆者撮影)

 前回、前々回の記事では小笠原で参加したエコツアーについて紹介してきた。

大迫力のクジラに息をのむ!自然を体感する旅

あかぽっぽに遭遇!小笠原の『不思議な森』

 エコツーリズムとは「地域ぐるみで自然環境や歴史文化など、地域固有の魅力を観光客に伝えることにより、その価値や大切さが理解され、保全につながっていくことを目指していく仕組み」(環境省ホームページより)であり、エコツアーはこういったエコツーリズムの「概念」に基づいて行われるツアー、すなわち「商品」のことである。

 日本でもだんだんとエコツーリズムという概念が浸透してきたように思うが、以前紹介した小笠原諸島の例は、日本の中では少し特殊といえるかもしれない。

 エコツーリズムという概念は、1970年代から80年代にかけて中南米、アフリカで生まれ、世界に広がって行き、1990年前後に日本にいわば「輸入」された。【注1】

 そこからエコツーリズムは日本独自の進化を遂げてゆくのだが、今回は、小笠原諸島と共通点が多く、エコツーリズムの先進地とも呼ばれるガラパゴス諸島から、小笠原諸島の今後について考えて行きたい。

新種のゾウガメを特定、ガラパゴス諸島

2015年8月にガラパゴス諸島のサンタクルス島で撮影されたゾウガメの新種「Chelonoidis donfaustoi」(ガラパゴス国立公園管理局提供)。(c)AFP/DPNG〔AFPBB News

ガラパゴス諸島の危機

 1978年に第1号の世界遺産に指定されたガラパゴス諸島はエコツーリズムの先進地といわれ、早くから自然資源を守る活動をしてきた。

 しかしそんな歴史を持ち、「管理型観光」のモデルとされてきたガラパゴス諸島が、2007年から2010年までの3年間、危機遺産リストに入っていたことをご存知だろうか。