前回、前々回の記事では小笠原で参加したエコツアーについて紹介してきた。
エコツーリズムとは「地域ぐるみで自然環境や歴史文化など、地域固有の魅力を観光客に伝えることにより、その価値や大切さが理解され、保全につながっていくことを目指していく仕組み」(環境省ホームページより)であり、エコツアーはこういったエコツーリズムの「概念」に基づいて行われるツアー、すなわち「商品」のことである。
日本でもだんだんとエコツーリズムという概念が浸透してきたように思うが、以前紹介した小笠原諸島の例は、日本の中では少し特殊といえるかもしれない。
エコツーリズムという概念は、1970年代から80年代にかけて中南米、アフリカで生まれ、世界に広がって行き、1990年前後に日本にいわば「輸入」された。【注1】
そこからエコツーリズムは日本独自の進化を遂げてゆくのだが、今回は、小笠原諸島と共通点が多く、エコツーリズムの先進地とも呼ばれるガラパゴス諸島から、小笠原諸島の今後について考えて行きたい。
ガラパゴス諸島の危機
1978年に第1号の世界遺産に指定されたガラパゴス諸島はエコツーリズムの先進地といわれ、早くから自然資源を守る活動をしてきた。
しかしそんな歴史を持ち、「管理型観光」のモデルとされてきたガラパゴス諸島が、2007年から2010年までの3年間、危機遺産リストに入っていたことをご存知だろうか。