保育園の待機児童がなくならない根本的な理由とは?(写真はイメージ)

「保育園落ちた日本死ね!!!」という匿名ブログが国会で取り上げられ、大きな話題を呼んでいる。国会前で「落ちたのは私だ」というデモが行なわれ、野党は「待機児童問題を解決するために保育園を増設しろ」と政府に要求している。

 これは問題を取り違えている。学校や幼稚園には、待機児童はいない。需要が供給を上回るとサービス価格が上がり、新規参入が増えるからだ。待機児童がなくならないのは、公立の保育料が安すぎ、保育園が参入を阻止しているからなのだ。

待機児童の原因は価格メカニズムのゆがみ

 全国最悪の東京都世田谷区の例をみてみよう。2014年の入園決定率は47.2%で、待機児童は1109人もいる。3歳未満の保育料は(親の所得によって違うが)平均すると毎月3万1500円だ。

 これに対して私立の「無認可保育園」の料金は、サービスによってさまざまだが、毎月10万円以上だ。保育にかかるコストは、ゼロ歳児だと月35万円といわれるので、私立の保育料は高い。

 1年で80万円以上も保育料が違うのでは、母親が必死で公立の保育園に入れようとするのは当然だろう。公立に落ちたら、保育料を10万円払って母親が15万円のパートをするより専業主婦で子供を育てた方がましだ、ということになってしまう。

 つまり問題は、公立の保育料がコストを大幅に下回っていることなのだ。それは公立だけに多額の補助金が出ているからで、公立保育園の収入の8割以上は国と県と市町村の補助金だ。