昨今、観光や食品を含む日本ブランド振興に官民一体となっている我が国であるが、たびたび本欄で触れているように、例えば大の親日国ジョージア(グルジア)はヨーロッパ初の関取・黒海関を出し、1月末には小結の栃ノ心関が純和風の結婚披露宴をニノ夫人とともに開くなど、さらなる交流の拡大に明るい話題が事欠かない。
もっとも、時には日本からの輸出物が他国で問題を引き起こすこともある。
主に日本から輸入される中古車を巡って、このユーラシアの親日国で、現在、大きな問題が持ち上がっているのである。
結論を先取りしていえば、安全第一の観点から問題となっている日本車から直接輸入される右ハンドル車の規制はやむを得ないかもしれないが、是非例えば渋滞や交通安全につながるインフラ構築などをこうした比較的規模の小さな国・都市で協力してはどうだろうかと思う。
ある意味日本が「持ち込んだ」問題の後始末として、何らかの恩恵が交通システム改善に及ぶことがあれば、長く市民から感謝されるだろう。
右ハンドル車輸入規制の波紋
2015年10月、現地を訪れた際にテレビなどのマスコミで大きな話題して取り上げられていたのが、右ハンドル車の輸入規制問題である。これは内務省が交通安全関連の規則改正を提案する中で持ち上がった問題である。
2015年春からたびたび話題となり、2016年1月現在、国会の経済・経済政策委員会(ツケマラゼ委員長)で審議中である。政府提案は新たな右ハンドル車の登録を禁止することと製造後9年以上の車の税額を増やすことである。
右側通行の同国では、もちろん左ハンドルの車が主流であった。
しかし、この提案がなされた背景として、内務省側はあまりの日本車人気のため、右ハンドル車の輸入が輸入車の約半数を占めるまでの事態となり、交通安全に支障をきたしているという。
国会などでの同省の説明を聞くと、約500件の事故で右ハンドルが約300件を占めたとか、左ハンドルの車に比べて右側通行システムの場合は1.4倍危険が増すなどの説明がなされている。
さらに、内務省の説明の中には右ハンドルと左ハンドルが同数(輸入?)の国はアフガニスタンとミャンマーだけで、ヨーロッパスタンダードを目指す同国として現状は著しい改善が必要としている。