災害報道に接していると、デジャヴにとらわれることがある。それは映画でいつか見た光景。「パニック映画(英語では「Disaster Movie」)」の1シーンであったりする。
「アメリカン・ニューシネマ」のムーブメントにのまれたハリウッドから、1970年、オールスターキャストの大画面パニック映画『大空港』(原題Airport)が登場、古き時代最後の残火にも見えるオーソドックな作りの群像劇は大ヒットを記録する。
以後、「Airport~」と題する作品が粗製乱造(正式続編は3本のみ)。数知れぬ映画のおかげで、航空災害のシナリオは語りつくされたかのようだった。
しかし、昨年、戦禍のウクライナ上空でのマレーシア航空17便撃墜、長く行方不明となり今年7月ようやく残骸が見つかった同370便・・・。
そして、今年3月、パイロットの故意とされるジャーマンウィングス機墜落、テロとの見方は強まるもののいまだ確定しない10月のシナイ半島でのロシア機墜落、と、釈然としないケースが続く。
世界を驚かせた難民船
こんな世では、航空機に乗るのも、一歩引いてしまう。しかし、航空機事故遭遇の確率は10万分の1にも満たない、というデータもある。
航空工学をかじれば、不安も減る。それでも二の足を踏むのは、人間は飛ぶことに、本能的に不安を抱いているからだろうか。
日本は島国だから、外国に行くには、航空機が嫌なら、船しかない。アジア、アフリカでは、いまだ、島のみならず、河川を船で渡るところも少なくない。それも、どう見ても定員オーバーで。今年は難民船に関する報道もよく見かけた。
近年豪華船クルーズがちょっとしたブーム、と言われても、馴染みがないから、パニック映画をブームへと導いた『ポセイドン・アドベンチャー』(1972)を見てもピンとこない。
しかし、ここで豪華客船が転覆する理由は、海底地震による津波。日本人には結構身近な映画かもしれない。
4月、9000人近い犠牲者を出したネパール中部地震。大地震こそなくとも、日本では地震は日常。今年は、箱根山、口永良部島、浅間山、阿蘇山、桜島、各地で火山活動も活発化した。