露大統領、トルコは「撃墜を後悔し続ける」

露モスクワのクレムリンで、年次教書演説に臨むウラジーミル・プーチン大統領(2015年12月3日撮影)〔AFPBB News

 今年もあと日数幾ばくかを残すだけになった。思えば、ウクライナ問題発生でロシアに関わる情報乱舞となった2014年に続いて、2015年もロシアの話題には事欠かなかった。

 何が話題だったか、となると、人は最近の出来事に目が惹かれるから、この1か月の急転直下で起こってしまったトルコとの関係悪化がまず挙げられる。

 11月24日に発生したトルコによる「Su-24」撃墜事件で、ヴラジーミル・プーチン大統領が爆発させたレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領への怒りは、どうやら周りのブレーキも効かないほど凄まじいものだったようだ。

 事件が起きたわずか4日後には、トルコへの経済制裁発動を指示する大統領令に署名し、今月3日の年次教書では、アッラーまで持ち出して、しかも「お前にはイスラムの資格などない」と言わんばかりにエルドアン大統領を誹り、17日の恒例の年次総括記者会見でも、彼がいる限りトルコとの関係修復はあり得ない、と受け取れる発言を行った。

 他国の為政者に対しては尋常ならざる言辞のオン・パレードである。

ロシアが怒った理由

 プーチン大統領をそこまで怒らせた理由というのも、記者会見で彼自らが述べているように、撃墜そのこと自体もさることながら、撃墜直後にエルドアン大統領がロシア側に接触することなく真っ先にNATO(北大西洋条約機構)に駆け込んだことにある。

 事件が起こるわずか1週間前には、トルコで開催されたG20の場で両大統領は会談し、今後の露土関係について前向きな方向で意見を交わしていた。

 ロシア政府・軍部内にも反トルコ派がいないわけでもなかろうから、それを抑えてでもシリア問題での連携強化を議論したのかもしれない。記者会見での、「我々と彼らの間に合意があった時でさえ、彼らは我々を背中から撃つ」という台詞からは、それらしきが窺えもする。

 にもかかわらず、最初の「いやー、すまん、すまん」の一言もなく、である。エルドアン大統領がプーチン大統領を信頼などしていないばかりか、軽く見ているとすら受け止められる動きを目の当たりにして、プーチン大統領は自分がエルドアン大統領に寄せた個人的信頼感を裏切られたという屈辱にまみれる。

 Su-24のトルコ領空侵犯があったかどうかでは、いまだに揉めている。撃墜が現場の判断だけで行われたのかも不明だが、エルドアン大統領が知っていて実行させたという見方が有力なようだ。