「アフリカ ザンビアバナナペーパープロジェクト」を進める丸吉日新堂印刷の阿部晋也社長。現地の学校にて。(写真提供:丸吉日新堂印刷)

 前回(スマホ時代だからこそ誠実な経営に舵を切れ! http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45374)は、企業経営がガラス張りになる「透明化社会」において、社員が成長し、顧客に選ばれ続ける企業になるためには、確固とした経営哲学が必要だ、という話をした。

 その経営哲学が目指すもの、目指す方向は多様であって良く、それが各「感動企業」「感動経営」を特徴づけるものとなる。

 今回は、その目指す方向が、社会への貢献と軌道を一にしている会社2社をご紹介しよう。

「エシカル消費」の拡大

 エシカル消費という言葉を耳にされた方は多いだろう。「エシカル」(ethical)は直訳すれば「倫理的・道徳的」という意味であり、環境や社会に配慮した製品やサービスを選んで消費することだ。

「エコマーク」は昔から有名だが、最近では「カーボンオフセット」「オーガニック」「フェアトレード」など多様な概念が登場している。

 いずれも消費者が、製品やサービスの値段は少々高くても、環境や社会に配慮したものを選択することによって、間接的に環境や社会に貢献することになる。

 NRI(野村総合研究所)では、リーマン・ショックおよび東日本大震災以降、日本人の価値観にパラダイムシフトが起きており、社会に役立つことを目指して生きる傾向、社会貢献意識の高まりが、消費分野にも波及していると分析している。

 2011年12月のNRIの調査では、年代にかかわらず、消費者の約半数が「社会のために役に立ちたい」が「行動できていない」と回答しており、この意識を満足させる行動がエシカル消費と言えるだろう。

出所)NRI「日本の将来や政治に関するWebアンケート調査(2011年12月)
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ザンビアと日本をつなぐ「バナナペーパー」

 はじめにご紹介したいのが、札幌市郊外にある、丸吉日新堂印刷という印刷屋さんだ。