次々とあぶり出される不正

 フォルクスワーゲン(VW)の不正ソフト、東芝の「チャレンジ」、横浜の「傾いたマンション」など、世界中の企業で次々と不正が発覚している。

 社員やアルバイトを酷使したり、言葉巧みに消費者を騙して儲けるブラック企業が、次々とあぶり出されては炎上している。こうした動きは今後さらに加速するはずだ。

「自分の業績のため、組織のため、会社のために、良かれと思ってやった」
「みんなやっているし、ばれなければ大丈夫だろうと思ってやった」

 そんな言い訳は一切通用しない社会になってきた。筆者はこのような社会を「透明化社会」と呼んでいる。

 あらゆる組織や仕組みがガラス張りになる社会だ。その背景には、ICT(情報通信技術)の進展と、経済の成熟化がある。

誰かの犠牲の上に成立するビジネスの終焉

 これまで隠し通せたことが隠しきれなったのは、これまで泣き寝入りしていた社員や派遣社員、アルバイト、取引先、消費者などが、手にスマートフォンを持って立ち上がったからだ。彼ら彼女らのつぶやきは、瞬く間にネットを通じて全世界に拡散し、鉄槌が下される。

 環境NPOなどが、大手メーカーの下請け企業の、さらに下請け先の工場の周囲への環境汚染の状況や労働者の労務環境を調査し、その結果をネットに公表すれば、一瞬で全世界に広がり、不買運動が始まる。

 それまで企業が時間をかけて築き上げてきた信頼というブランドは、一夜にして崩れ去る。もはや、誰かの犠牲の上で成り立つビジネスは成立しないのだ。

ICT革命の本質とは

 筆者は、ICT業界のコンサルタントとして四半世紀、ケーブルテレビやインターネット、携帯電話、光ファイバーなど、ICTの普及と利用促進を影ながら支えてきた。