猛スピードで進んでいる日本の高齢化に特効薬があるかと問えば、「そんなものがあったらとっくの昔に実施しているさ」と反論されておしまいだろう。特に既得権益が絡むとほとんど手がつけられない。
しかし、一方で急激な変化は、どんな産業であれ大きなビジネスチャンスを生み出す。ここに民間の活力の源泉があるとも言える。
つまり、少子高齢化に何とか対策をしなければと考えるとお手上げでも、この変化が何かビジネスにつながらないかと考えると、様々なアイデアが湧いてくる。
そんな実例をご紹介したい。
保険を切り離し急成長
東京都中央区に本社を置くワイズ(早見泰弘・会長兼CEO)は2014年2月に会社を設立して以来、急速に事業を拡大している。事業の中心はリハビリである。
リハビリとは事故や怪我、脳梗塞などの病気で体の一部に障害が出たとき、それを回復させることである。「そんなのは病院や老健(介護老人保健施設)で行われているじゃないか。何を今さら」と思われるかもしれない。
しかし、ワイズの早見会長によると、リハビリ事業は将来性が極めて高いという。なぜか――。
その秘密は、リハビリを国の保険制度から切り離したことにある。保険を使わず純粋に民間の事業として始めてみたら、想像以上にリハビリ難民が多く、またリハビリをしたくても満足できる環境が少ないことを実感したと言うのである。
しかも、日本は世界で最も高齢化のスピードが速いだけに、新しい"市場"が最も早く生まれる。そのため、顧客は日本だけでなく、今後、日本以上の速さで高齢化が進み始めるアジアからの顧客も見込める。
実際、事業を始めて1年ほどなのに早くもネットで噂を聞きつけて、中国からリハビリのために来日している顧客もいるという。