中国は、海洋進出という国策のもとに遠洋漁業の発展を目指している。近年は大型船の建造と装備のグレードアップに力を入れており、2013年には600隻を超える遠洋漁船を完成させた。特に開発・製造に力を入れたのが、まぐろ漁船やサンマ漁船などである。そうした大型船が公海でサンマを“先獲り”してしまうため、日本近海に回遊してくるサンマが減ってしまったのではないかと指摘されている。
大型漁船の様子を、中国の現地紙は次のように報じている。「2014年末に寧波の港を出港した船は、前年に進水した大型漁船である。高速スピードに加えて、レーダーや自動操舵、衛星通信など装備のハイテク化が進んでいる。1回の漁で数十トンを捕獲。それを80人の船員が加工し、8つの冷凍庫で保管する。数カ月の海上生活に耐えられるよう数十トンの米・野菜・肉を搭載し、船員は一人ずつ部屋も与えられている」
資源保護のために国際的なルール作りを
国立研究開発法人 水産総合研究センターの東北区水産研究所八戸庁舎によると、実際には外国籍の大型漁船による影響は限定的だという。「日本の船は多いときには1日当たり100トン以上の魚を獲ります。一方、外国船は40~50トンがせいぜい。中国船などが根こそぎとっているとは言えないでしょう」
今年のサンマ漁の不振についても、次のように説明する。「サンマは海全体にそれなりに存在しています。それが沖にとどまるのか、あるいは日本近海にまで泳いでくるのかによって、その年の漁獲量が変わってきます。確かに今年は近海での魚影は薄かった」
同センターの話を聞く限りでは、中国漁船がサンマを根こそぎ奪い尽くしているというわけではなさそうだ。
しかし、2014年のサンゴ密漁が問題になったように、ウンカのように大群で押し寄せて漁をしまくる中国漁船はやはり脅威である。
そもそも海の資源は無尽蔵ではない。日本ではサンマ、マアジ、スケトウダラ、ズワイガニ、スルメイカなど7魚種について漁獲可能量(Total Allowable Catch)を定めている。同様のルールを国際的に適用して資源を保護し、漁業を持続可能なものにする必要がある。