南スーダン内戦、大統領が和平協定に「条件付き」署名

政治的混乱が続く南スーダンに日本は自衛隊を派遣している。平和安全法制の成立で自衛隊の活動はどう変わるのか。南スーダンの首都ジュバで、反乱軍との和平協定に署名するサルバ・キール大統領(中央、2015年8月26日撮影、資料写真)。(c)AFP/CHARLES LOMODONG〔AFPBB News

 9月19日未明、参院本会議で混乱の末に平和安全法制が可決・成立した。費やした国会での審議時間は衆院で116時間30分、参院で103時間32分。合計200時間以上を費やした大変な難産の末の成立であった。

 この法制が極めて論争的な内容であったことは疑いの余地がない。賛成側はこの法律は変化した安全保障環境の下で日本を守るために必要不可欠であると言い、反対側はこの法案には憲法違反の疑いがあり、かつ自衛隊の行動や政府の裁量への「歯止め」も不十分であると主張した。

 しかし、200時間超の審議時間を費やしても、平和安全法制への国民の理解が深まったとは言い難い。なぜならば、この法律はただでさえ11本の法律(10本の法改正と1本の新法制定)を束ねたものであって、大変複雑であるうえに、与野党その他の政治勢力の様々な政治的な思惑から極端に捻じ曲がった評価をされてきた経緯があるからである。

 それでは、真実の平和安全法制の姿とはどのようなものであろうか。以下、2回に分けて、政治的思惑を介さない安全保障の専門家の見地から整理してみたい。

 最初にお断りしておきたいが、以下の評価は筆者個人のものであって、筆者の所属組織を含む、いかなる団体や組織の立場とも無関係である。

日本はこれまでどおり集団的自衛権を行使できない

 平和安全法制によって、自衛隊法や武力攻撃事態対処法が改正され、従来「憲法上行使不可」とされてきた集団的自衛権の限定的な行使が可能になった。法制はこれを「存立危機事態」が認定された場合に可能であるとしている。