南仏保養地のカジノに3人組覆面強盗、散弾銃やなたで武装

ブラックジャックの台。仏パリのカジノ学校にて。(c)AFP/LIONEL BONAVENTURE 〔AFPBB News

 ギャンブル依存症と犯罪は非常に近しい関係にある。

 世の中のありとあらゆるギャンブルは必ず胴元が得する仕組みになっている。そうでなければ「ギャンブル場運営」という商売が成り立たないから当たり前の話である。もちろんミクロ的な現象としてある特定の人物が賭けに勝って大儲けするようなことも生じるが、その裏には当然それ以上に大きな損失を出す人もいるわけで、こうしたミクロ的な事象は件数が増えれば確率分布に集約されていってマクロ的にはギャンブル場が絶対に得する仕組みになっている。

 中には「本当のギャンブルのプロは、技術で運の世界を脱する」という主張をする人もいるかもしれないが、残念ながらそうした認識は根本的に歪んでいる。技術ではなく確率論に左右されるからこそ「ギャンブル」なのであって、仮にその確率を操ったり歪めたりする方法を用いているとしたら、それは程度にもよるが「いかさま」ということになってしまう。

 つまり、本来ギャンブルは最終的には必ず損をする遊びである。仮に「ギャンブルのプロ」がいるとしたら、それは「ギャンブルが確率に支配されるゲームである」ということを知った上で、自らの財布の範囲で遊ぶ人のことである。

ギャンブル依存症と犯罪の関係

 ギャンブル依存症の罹患者は、こうした本来の「ギャンブルのプロ」が持つべき現実認識がドーパミンの過剰反応などにより阻害されていくのだが、本人は発病に気がつけないため、これまで通り自己管理ができるつもりでいる。その結果、自らの経済的な許容範囲を超えて「ギャンブルをするためにギャンブルをする」ということを繰り返してしまう。結果としてギャンブル依存症の罹患者は長期的には負けが込み、最後は必ず借金の問題を抱えることになる。

 しかしながらギャンブル依存症罹患者は「自力ではギャンブルを辞められない」という状況にあり、またドーパミンの過剰反応は、思考を司る前頭葉に強く影響するため「ギャンブルで作った借金をギャンブルによって返す」という認知のゆがみが起きてくる。そしてそれに気づけず、「借金に借金を重ねる」「ウソをついて他人から金を借りる」などの経済的に持続不可能な手段をもって再びギャンブルに挑み、さらに借金を重ねていく。