ヒロシマから70年、米国人の大半は今も原爆投下を肯定

ワシントンのスミソニアン航空宇宙博物館で展示されるエノラ・ゲイ〔AFPBB News

 終戦から70年の月日が流れた。

 それは、日本が戦争から離れた月日であり、人類が「核の恐怖」と対峙した70年でもあった。

 アラモゴードでのトリニティ実験、テニアン島を飛び立つB-29爆撃機「エノラ・ゲイ」、そして、広島のキノコ雲。その様子を語るポール・ティベッツ機長、原爆投下を発表するハリー・トルーマン大統領。長崎への原爆投下。被爆地を調査する米国人、被爆者の姿。

 ナレーションもなく、映画『アトミック・カフェ』(1982)の映像は続いていく。

 マーシャル諸島ビキニ環礁、「破壊力を人類の役に立てたい」と住民に語る米兵。キノコ雲。死の灰を浴びた第5福竜丸。大衆の核パニック、朝鮮戦争、「赤狩り」、ローゼンバーグ事件などの映像がそこに挟まる。

欺瞞が透けて見えるプロパガンダ映像

 ネバダでの核実験、アトミック・ソルジャー。はからずも、風下となった住民へ灰到達を知らせる放送。ピカッときたら「Duck and Cover(さっと隠れろ)」と訓練する人々・・・。

 この映画は、すべて、1940年代、50年代あたりの、政府や軍のプロパガンダ映像、教育映画、ニュース映画など、既成のフィルムで構成されている。そこからは、世を覆う核への恐怖を抑え込もう、体制側が苦慮していたことが伺える。

 その一方、編集の妙で、オリジナルの意図から離れ、欺瞞が透け、滑稽にしか見えない場面も少なくない。

 恐怖は、多くの創作を生み出した。その代表作とも言えるのが『渚にて』(1959)。

 米ソ核戦争で、北半球の人類は死滅。残されたオーストラリアの人々が、やがてやって来る死の灰に怯えながらも、変わらぬ日常生活を送ろうとしている。そして、世界を偵察に出かける主人公が乗り込む潜水艦の動力は原子力・・・。