米HP情報漏えい調査問題で公聴会 - 米国

セクシュアルハラスメントに絡む問題で辞任したマーク・ハード前CEO〔AFPBB News〕

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 とりわけ、HPはマーク・ハード前CEOがセクシュアルハラスメントに絡む問題で辞任したばかり。こうした状況の直後は通常、次のトップが決まるまで戦略的な事業展開は保留になるが、HPの場合は状況が違った。

 HPの幹部は同社がデルとの競争激化に直面しているとの報告を受け、ライバルのあらゆる動きに対して、阻止するという戦略を立てたのだ。

 こうしてHPは8月24日に1株24ドルの買収提案を行った。これにデルは24.30ドルで対抗。HPも「勝つために買収合戦に参加した」との強硬な姿勢。その後2回にわたり積み増しを行い同社の提示額は30ドルとなった。

 以上が8月第4週までの動きだ。3者はそれまで状況を逐一公表していたが、この後は非公開で急展開していくことになる。

デルの沈黙に焦るHP

 翌週になってデルは沈黙を守った。後に公表されたスリーパーの発表資料で分かったのだが、デルは9月1日にHPの30ドルを上回る32ドルを提案していた。この時デルは業務提携の条件を提案に盛り込んだ。

 それは「スリーパーがHPに買収された場合でも、スリーパーはデルに対して製品を供給すること」というものだった。しかしスリーパーはこれを受け入れられないとしてデルの提案を断った。

 メディア報道によると、デルはスリーパーのこの決定を受けてこれ以上積み増しを行わないことを決めた。その決定が行われたのは9月2日の朝のことである。

 しかしちょうどその頃HPはデルの沈黙に焦っていた。

 デルからの次の提案が期限内に出されなければ、デルとスリーパーとの合意契約は自動的に白紙に戻ることになっていたのだが、HPはデルがさらなる積み増しを検討しているのではないかと考え、1日の夜から2日の朝にかけて策を練った。

 HPはその朝の8時半にスリーパーに電話をかけ、1株33ドルの提案をした。その9時間後に両社は合意に至った。

 HPは先手を打ったつもりだったが、その後スリーパーが公表した資料でデルの出していた提案が成立していないことが分かった。つまりHPは1株30ドルでも買収できていたのだ。すべて後の祭りである。

 このような競合買収の場合、後から提案する方は、遅れを取り戻そうと、どこかの段階で大胆な行動に出るものだと前述のブルームバーグ・ビジネスウィークの記事は伝えている。

 最終決定された1株33ドルという価格は、デルが当初提示した金額の約1.8倍。デルが買収合意を発表する前のスリーパーの株価に比べると3倍以上になる。

 買収総額は23億5000万ドルだ。この買収劇、勝者はHP、デルのいずれでもなく、スリーパーだったと言えそうだ。