東シナ海問題、豪は有事の際「日本の味方せず中立を」 世論調査

日本の海上自衛隊の哨戒機(2014年3月24日撮影、資料写真)。(c)AFP/Paul Kane〔AFPBB News

 第1回(「『日中戦争』をどう終わらせるか? 構想がなければ太平洋戦争の二の舞に」)でも触れたように東シナ海における離島防衛の成否とは、日中双方の際限のないエスカレーションをいかに防止するかにかかっています。

 仮に尖閣諸島なり、その他の有人島に侵入した中国側の過激派団体、漁民、海警職員に死傷者が出れば、いくら強固な指導体制を構築しつつある習近平体制でも国内を抑えるのは難しいでしょう。

 また、その侵入が有人島の場合は問題が深刻になります。紛れ込んだ武装民兵などを排除するために自衛力をそのまま行使すれば、日本国民を付随的に巻き込んでしまう可能性が高く、そうなれば国内のナショナリズムは怒りに燃え上がるでしょう。

 この背景には、ちょっとした小さな出来事が戦略レベルでの大きな影響を与えるという、最近の戦略環境の極めて厄介な構造があります。これを「戦略」「作戦」「戦術」の並列化と私は表現していますが、今回は、この現象について論じた上で、その戦略環境にうってつけである非致死性兵器の重要性を述べたいと思います。

垂直関係だった「戦略」「作戦」「戦術」が並列化

 これまでの戦略環境では、戦術レベル、作戦レベル、戦略レベルの出来事は下記の図のような関係でした。要するに、戦術レベルの出来事は主に作戦レベルに影響を与える物であって、戦略レベルに直接影響を与えるものではありませんでした。これは冷戦初期頃までは、こうした傾向だったと言えます。

 しかし、現在の戦略環境では、下の図にあるような関係に移行していると言えるでしょう。