噴煙を上げる御嶽山(ウィキペディアより)

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老舗の音楽祭

 「日本で最も美しい村連合」に加盟している長野県木曽町は、森林が90%を超える山間の町である。旧中山道の宿場町として栄え、日本4大関所の福島関所があり、古くから御嶽信仰や木曽ヒノキ、木曽馬などで有名である。

 2005年に木曽福島町、日義町、開田村、三岳村が合併して木曽町となり、人口は1万2022人(2015年4月1日現在)である。

 昨年は、災害に泣かされた年でもあった。2月は2週続けての大雪に見舞われ、町内の2つのスキー場経営に大きな打撃を受けた。7月には土石災害が起こりJR中央西線が1か月の運休。

 そして9月27日の御嶽山噴火は役場の内外を一変させた。

 絶好の紅葉日和に観光宣伝も慎まねばならない雰囲気や入山規制による困惑の中、まずは町民あげて災害復興を乗り越えていかねばならない。くしくも今年は合併して10周年を迎える節目の年でもある。

 合併当時、町長だった田中勝己氏は、まちづくりは町民の気持ちの高揚と団結の中でしか成功しないという強い確信のもと、職員と共に成功した町と失敗した町を見て歩いて討議を重ねた。

 そして職員のみならず町民にも繰り返し訴え続け、町の総合計画を町民参加でつくろうと公募した際には100人近くが名乗りをあげた。そうしてできたのが「木曽町まちづくり条例」であり「地域まちづくり計画」である。

 ヨーロッパの創造都市も参考に、地域ならではの伝統産業や職人の技術、芸術活動を重視し、自由な創造活動を通じて住民が主体的に文化や産業の発展に関わることも盛り込んだ内容となっている。