2020年以降の宇宙ステーション利用、ロシア結論先送りに

〔国際宇宙ステーションAFPBB News

 ロシアの宇宙開発体制が大きく変わろうとしている。

 その発端となったのは、今年1月、ロシア政府が宇宙機関と宇宙産業の大再編を決定したことだ。

 宇宙大国と呼ばれるロシアだが、ここ数年、技術的欠陥や単純ミスによってロケットや宇宙機が失われる事故が続発しており、危機感が高まっていた。

 そこで2012年、当時の連邦宇宙局長官であったウラジミール・ポポフキン氏は、連邦宇宙局とロケット・衛星メーカーを統合して国営企業へと再編してしまうという大胆な改革案を提起した。

 連邦政府の行政機関である連邦宇宙局と民間企業を統合したうえに国営企業化してしまう、というとかなり無茶な話にも聴こえるが、実はロシアにはすでに前例がある。原子力省と原子力関連メーカーを統合した国営企業のロスアトムだ。

 ロスアトムは行政機関として連邦政府予算の支出を受け、原子力政策を策定し、各種許認可や監督業務を行う一方で、傘下の原子力企業群によって原子力発電所の建設や運営、軍事目的の核兵器の開発・製造、さらには原発輸出までを総合的に行うことができる。

 ポポフキン長官が目指していたのは、これの宇宙版だった。

ポポフキンの横顔

 ところでポポフキンという人物はもともと軍の宇宙部隊出身で、軍用宇宙基地「プレセツク」の司令官や宇宙部隊司令官といった要職を歴任してきた。

 連邦宇宙局長官に任命される前は第1国防次官として軍の装備調達改革を進めており、トラブル続きの宇宙産業でも辣腕を発揮することが期待されていた。そこでポポフキン長官が提起したのが、前述の「宇宙版ロスアトム」構想であったわけだ。