2月下旬にアメリカのルイジアナ州・ニューオーリンズで国際関係学会が開かれた。昨年5月のこのコラムにも書いたが、同学会はこの分野の世界最大の年次会議である。各国から国際関係学の教育や研究に携わる専門家が一同に集まり、最新の研究や教育方法を発表し議論を深める大きな行事である。
ルイジアナを中心とするアメリカ南部の一部でこの時期有名な「マルディグラ」と呼ばれるお祭りとは重ならないものの、そのお祭りの翌日から学会が開かれたのは偶然だったのだろうか。
祭りの余韻は街中いたるところで残っており、バーボンストリートで有名なニューオーリンズ中心部のフレンチクォーターを歩くと、日中からベランダで音楽に合わせて踊ったり歩道でバンド演奏する地元の人々を目にすることができた。
フレンチクォーターから徒歩で約10分ほどの場所にあった学会会場は別の意味でのお祭りモードで、5000人以上の参加者の熱気に溢れていた。世界各国の大学教員から政府関係者、元閣僚や大使、NGO代表、国際機構職員、そして大学院生など様々な背景を持つ人々が集結した。
もちろん、その数は他の尺度で測れば大きくないかもしれないが、5000人が一同に集まればニューオーリンズ地域全体の経済に役立つのは間違いない。地元のレストラン、ホテル、航空会社、タクシー業界にとっては生活を左右する大きな行事である。
日本への注目、中国への関心
前回同様、数百にも登る数の発表パネルの中、日本に関するパネルがいくつかあった。私はその中の一つ、「国際安全保障の分野における日本の役割」というパネルを割り当てられた。そこでは別の2人の専門家と共に、現在の日本の防衛政策に関する論文を20分ほど発表し、討論者から感想と質問を受けそれに答えた。
論文のために研究した課題は尖閣地域における日本の現在と今後の方針に関するものであり、戦後日本の政治システム内における外務省、自衛隊や海上保安庁の役割、そして日米安保の問題点などを論じた。