先週の米国株式市場
―GDP下振れやFOMCのタカ派的な声明受け大幅下落―


<先週の概況>

先週の米国株式市場は10―12月期のGDP成長率が市場の予想に届かず、またFOMC後の声明発表が、米国経済に強気な見方を示すタカ派な内容だったことから週間で3%近い大幅下落となりました。

また、マイクロソフト(MSFT)やプロクター・アンド・ギャンブル(PG)などの決算がドル高の影響で冴えないものとなったことも株価の重しとなりました。


米国株式市場バリュエーション




業種別リターン



ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

ダウ平均採用銘柄のうち値上がりはボーイング(BA)とマクドナルド(MCD)の2社のみ。ボーイングは10―12月期の決算で増収増益を達成し、利益が市場予想を上回ったことから大きく買われました。また、マクドナルド(MCD)の10―12月期決算は冴えない内容に終わったものの、最高経営責任者の交代が発表されたことで経営改革期待が高まり買われました。

<下落>

冴えない内容の決算発表を行った銘柄の下落が目立ちました。中でもマイクロソフト(MSFT)はドル高の影響で10―12月期が減益になるとともに、今後についても弱気な見通しを発表したことから週間で14%超の下落と大きく売られました。

先週発表された主な経済指標

米連邦公開市場委員会(FOMC)

27日から28日にかけて行なわれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、事前の予想通り利上げの決定は行なわれませんでした。また、今回の会合は終了後の記者会見がなく、具体的な利上げ時期についての示唆などはなかったものの、FOMCの米国経済や労働市場に対する認識の変化がありました。

まず、米国の経済活動全般について「しっかりとしたペースで拡大」と12月の「緩やかなペースで拡大」から一段強気な見通しに引き上げられました。また、労働市場については「力強い雇用の増加」と12月の「しっかりとした雇用の増加」からこちらも一段強気な見通しに引き上げられました。また、足元で原油安の影響から伸び悩んでいる物価上昇率については、短期的にはより一層伸びが鈍化する見通しが示されたものの、中期的にはFRBの目標である2%に近づいていくとの見通しが示されました。

今後発表される主な経済指標

2月2日 1月分ISM製造業景況感指数 市場予想 54.5 前月 55.5

2日に1月分のISM製造業景況感指数が発表されます。12月分は製造業、非製造業とも11月から3ポイント以上悪化しました。改善と悪化の境目となる50は大きく上回っているものの、両指数が揃って同月に3ポイント以上悪化したのはリーマン・ショック直後の2008年10月以来とあって、米国経済の先行き鈍化が懸念されます。

先行指標となる地区連銀の発表した1月の景況感指数は、フィラデルフィア、カンザスシティ、リッチモンド、ダラスが悪化した一方でニューヨークは上昇しました。市場予想では12月から小幅な悪化が予想されています。


マーケットビュー
―株価は短期的な底打ち局面が近いと見られる―

先週のマーケットビューでは、原油安の影響見極めや直近発表された経済指標に冴えない内容が目立ったことから、ダウ平均の高値奪回には時間がかかりそうと記しましたが、10―12月期のGDPの下振れやタカ派的とみなされたFOMC声明などを受け、米国市場は主要指数が3%近い大幅下落となりました。

今週は指標欄で紹介したISM製造業景況感指数の他にもISM非製造業景況感指数、新車販売台数、雇用統計など重要指標が数多く発表されるため、それらの指標動向を睨みながらの展開となりそうです。足元の米国株の下落の主因は米国経済の成長鈍化懸念や、ドル高による企業決算の伸び悩みと考えられますが、30日時点のトムソン・ロイターの集計による10―12月期の企業決算は前年同月比5.3%の増益見込みと、前週時点の3.5%増益予想から上方修正されています。一部企業の決算が大きく市場予想を下回ったため、企業決算が総じて悪いような印象がありますが、実はそれほど悪くはありません。

また、テクニカル指標から見ると、短期的な米国株のボトムが近いとの見方ができます。以下のグラフはNYダウ平均とその200日移動平均線、S&P500の騰落レシオを示したものですが、昨年の米国株調整時には200日移動平均線がサポートの役割をした局面が複数回ありました。今回もすでにNYダウ平均は200日移動平均線に近づきつつあります。また、昨年の調整局面は騰落レシオが概ね80前後のところで下げ止まる傾向が見られました。足元の騰落レシオもすでに80程度まで低下しつつあります。



米国経済のファンダメンタルズ面に若干の不安は残りながらも、株価は短期的に戻りを期待して良い局面、そのように考えています。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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